【第1回インタビュー】

京スカを応援してくださるス カッシュプレーヤーに直撃インタビューです。 
今回は、先日シーマックス彦根 のファイナルオープンにゲストエントリーしてくださった、石渡康 則選手です。
スカッシュ界きっての好青年& 不屈の精神を持つ、2004年度 全日本チャンピオンに、
スカッシュキューブで直撃して みました。

その前 に、プチプロフィールです。
石渡康則 スカッシュマジック所属。仕事先はスターバックスコーヒー。
昭和56年3月19日生まれ 26歳 血液型O型。

試合の合間なのに、インタビューの申し出を快諾してくださいました。
ストレッチしながら気さくにお話をしてもらってます。

【まず最初に、石渡選手がスカッ シュを始めたいきさつを聞かせてください】
スカッシュ を始めたのは、17歳の時。野球やバスケをやっていたけど、
なかなかレギュラー取りとかできなかったりして、ちょっとぐれたりして、
ぶらぶらしてた時に、母親にスポーツクラブにでも通って身体を動かしたら?
っていわれて、入会したのがきっかけですね。週2回のレッスンを受けて、
あとは、友達のお父さんがスカッシュやっていたので…相手をしてくれたりしてました。

【ホームコートや、練習場所はどこ ですか?週どのくらい練習してますか?】
セントラル 蒲田で、週2〜3回、いくと2時間くらい。

【練習する時に、心がけてる事はあ りますか?】
いつもター ゲット(ショットの種類など)を絞って練習に入ってます。

【コーチングはどこでしています か?】
ルネッサン ス港南台と、ルネサンス浦和です。

【コーチをとして、心がけている 事、ご自分のレッスンのセールスポイントはなんですか?】
分かり易 さ。あと、必ず疑問に答えるようにしています。分からないことをそのままにしないみたいな。
セールスポイントは、いろんなショット教えていることです。

【レッスンを受ける生徒さんに求め ることってありますか?】
難しかった り、できなくても、とにかくやってみて欲しい。トライする気持ちを持って欲しい。

【試合前に必ずすることとかありま すか?】
試合前には 特に何もしません。ゲン担ぎとかもないですし、ただ普通に試合をやろうとかって感じですね。



【プライベートについて、質問させ てください。スカッシュ以外のスポーツはしていますか?】
ロードレー ス(自転車)サーフィン。

【競技レベルですか?】
いえ、趣味 レベルです。サーフィンは兄に連れてってもらうんですが、つい最近はじめました。

【オフの時は何をしていますか?】
自転車、 サーフィン以外には、ドライブしたり。本を読んだり。料理したり。

【どんな本をよんだりするんです か?】
歴史物が好 きなんだけど、政治とか社会情勢にも興味あるかな…

【今、読んでる本はありますか?】  
今読んでい る本はないんだけど…旅行雑誌を見てる(鉄道旅行ヨーロッパ)

【では、好きな映画とかあります か?】
(即答) 「ゴール!」1と2.両方とも。

【じゃあ、今観てみたい映画は?】
「ホリ ディ」キャメロンディアスが好きなんですよ。 あと、「ラッシュアワー3」クリスタッカーが好きなんで。

ジャッキーチェンとのやつですね。今度の舞台はパリ!って予告編みました よ。

【では、良く聴く音楽とかは?】
ソフトなの は、女性ボーカルで。マドンナとかこの間良く聴いてました。
ハードなのは男性というか、バンド物を聴いてます。Limpbizkitや、Linkin Parkなんかすきです。
好きな曲はMadonna のDon't tell me とLimpbizkit は red-light green-lightかなぁ〜。

(しばし、Limpや、Linkinの話でもりあがる。)

【試合前にも音楽を聴いたりします か?どんなのを聴いているんですか?】
適当にi- podをシャッフルさせて聴く感じです。もちろんお気に入りのラックを選択しますが。

【尊敬する人っていますか?】
(やはり即 答)神様。
神様がいるって感じる瞬間があるんだけど。 
たとえば困難なことがあっても努力すれば必ずその努力は報われる。不公平ってないなと。
自分のしてることが上手く行っている時は、神様がそうした方が良いと言ってくれてると感じる。

【では、逆に上手く行かない時は、 神様の意思に反してるわけですね?】
そう。占い とか信じないけど、神様はいるって感じる時があるから。

【尊敬する、スカッシュプレーヤー は誰ですか?】
スチュアー トボズウェル(注1)
彼のシンプルだけど、常に相手にプレッシャーを掛けるプレイスタイルが好き。
彼も2年ほど故障でランキングから遠ざかったけど、一昨年前にカムバックして、
今はまたワールドランキングTop10辺りにいる選手だから。

【尊敬するアスリートは?】
ランスアー ムストロング(注2)
彼もまた、がんに倒れるも、克服して選手生活に復帰したロードレーサー。
彼の本を読んでとても励まされました。

さて、このインタビューは京都ス カッシュプレーヤーの会のHPに載せさせていただくわけですが、
【石渡さんにとって京都のイメー ジってどんなんですか?】
そうですね 〜、「古きよき時代」。

【京都に来て、してみたい事、行っ てみたい所とかありますか?】
いろいろ 言っておいたほうがいいですよ!京都に来た時、きっと連れて行ってくれる人が出てきますから。
(結構即答!)雪の積もった金閣寺が観てみたい。

【うっ!冬限定ですね、、。他に は、、、?】
「悟りの 窓」(注3)ってありますよね。あれを覗いてみたい。
未来を覗いてみたい。
自分は過去はふりかえらない。過去のことにこだわるより、明日何があるかわくわくしていたいし。
明日何があるか分からないから楽しい。

【最後に、京都でスカッシュを楽し んでいるスカッシャーに一言メッセージをいただけますか?】
関東の盛り 上がりの輪に入るのは(地理的に)簡単じゃないけれど、
イベントとかあったら、積極的に参加して、自分の世界を広げて欲しいですね。
プレイヤー個人が出来ることは限られてしまうけど、地方の集まりや、協会とタイアップしたりして、
プレイヤーに働きかけてもらえたらいいですね。
トッププレイヤーは、キャリアの旬を迎えながら、協会の財政に活動を左右されてしまっているのが現状です。
いろんな意味で、みんなでスカッシュを支えないといけないと思います。

ありがとうございました。次の対戦 も頑張ってください。



追記
尊敬するスポーツ選手として名前が挙がった2人は両人とも怪我や病気の為に、
選手生命を危ぶまれながらも、不屈の精神と鋼の肉体で見事にカムバックを果たしたアスリートだ。 
神様がいる。石渡選手は、自分が絶望の中から這い上がってくる時、何度もそう感じたんだろう。
石渡選手の不幸な交通事故も知る人は多いが、彼が自力で歩く事は無理だろうといわれ、
車椅子での人生を「あ〜俺もう銀座とか行けないんだな。」と思いながらも、
奇跡と過ごしてきた一日一日や、驚異的な回復の裏にある苦しみは、実際当の本人にしか分かり得ない。
彼は自分の努力を信じた。彼が感じた神様と精神の平穏はそのご褒美ではないかと思えたりする。
命さえ落としていたかもしれない事故自体、彼はもしかしたら、
もう不幸な出来事だったとすら思っていないかもしれない。「人生に不公平はない。」のだから。

「でも、、、」彼は続ける、
「実際には復帰後、一旦全日本タイトルを手にしたものの、
その後それを維持することは出来ていない自分に不満も感じている。」
本当はスカッシュは楽しければ良いと心の中では感じつつも、
彼の身体能力にはいやおうなしに、自他共から期待が寄せられる。
「でもね、こう思うんですよ。 復帰後、やはりあちこちが痛くて、体調不良を感じることも多くなった。
たとえば、活発に動ける人生60年の中でスカッシュが思い切り出来るのが、20年とする。
でもその20年の為に残りの40年を車椅子で過ごすんじゃ意味がない。
自分にとって、あとの40年も大切だから、その時は辞める覚悟は出来てますよ。」
多くを失いかけて、多くを手に入れたから。その儚さと、重さを知っている。
それが石渡選手の強さだと思うし、彼の活躍は大きな意味がある。
 神様がもうやるなというまで、私達を楽しませて欲しい。そして、その日が遠いことを祈っています。

気さくで饒舌な石渡選手なので、いつまでも話が尽きないくらいでした。
インタビューで私が聞きそびれた、得意料理。 イベントや、大会で彼を見かけたら、
話しかけて聞いてみてください。きっと快く教えてくれると思いますよ。

京都スカッシュプレーヤーの会  神谷典子            


注1)スチュアートボズウェル Stewart Boswell 1978年オーストラリア生まれ。
オーストラリアの選手。ジュニアから活躍して、1997年よりプロとして活躍。
2002年には世界ランキング4位となるが、その後腰の故障により、引退かとささやかれるが、
2005年には、見事にカムバックしてPSAのトーナメント7連勝の快挙をなしとげる。

注2)ランスアームストロング Lanse Armstrong 1971年生まれアメリカテキサス生まれ。
10代はトライアスロンの選手として活躍し、20代からは自転車レースに専念。
その名を世界に示すも、1996年には癌の闘病生活に入る。選手として復帰できるように、
心肺機能をまもる、過酷な治療法を選んだ末、1998年には復帰。
その後ツールドフランス7年連続優勝をしている。彼がナイキと共同で行った、がん患者支援の為の、
LIVESTRONG プロジェクト=イエローバンドはその後のリストバンド運動の火付け役となった。

注3)悟りの窓。 京都市北区にある、源光庵。本堂には「悟りの窓」と名付けられた丸窓と、
「迷いの窓」という角窓があります。悟りの窓は円型に「禅と円通」の心を表し、
角窓は人間の一生を象徴して「生老病死四苦八苦」を表しているそうです。紅葉時期がおススメ。