【第3回インタビュー】

2007年冬、サンセットブリーズ保田のグランドオープンがスカッシュ界に明るい話題を
提供してからもう1年強。この一年余り、大会はもちろん、イベント、合宿で、
サンセットブリーズ保田(以下SBH)は、大忙しだったようです。
訪れたスカッシャーの間では、その居心地の良さと、盛りだくさんの楽しさが定着しつつありますが、
地理的な問題もあって、京都では一部のプレーヤーを除いてまだ未知の場所。
今回はSBH代表取締役、元日本代表スカッシュプレーヤーの丹野倫さんとともに、SBHを誕生させ、
これまでを創り上げたと言っても過言ではないSBHの美人プロデューサーの藤沢蘭さんにSBHについて、
いろいろとお話をうかがいました。
HPのブログを覗いても、次々と新しい取り組みをされているSBH.。
スカッシュ施設にとどまらず、フットサルを始め、シュノーケリングや釣り、サイクリングなど、
多岐にわたったアクティビティーに加え、シェフが腕をふるうカフェレストランや、宿泊施設を提供するSBH。
とても親しみやすいお人柄の蘭さんから、どんな誕生裏話がきけるでしょうか?

ranren.jpg(18038 byte) ランさんと愛犬レン君


●はじめまして。京都スカッシュプレーヤーの会と申します。私達のことはご存知ですか?

 ハイ、以前HPを拝見させて頂いたことがあります。

●それでは、藤沢さん、蘭さんとお呼びしてもいいですか?親しみ易い、素敵なお名前ですね。

 ありがとうございます(笑)ぜひ、ランと呼んでください。

●まず、SBHの誕生のいきさつについて、伺いたいと思います。

 ハイ、よろしくお願致します!

●蘭さんが、最初にSBHについての話を知ったのはいつですか?

 そもそものキッカケは、ロン(丹野代表)の"スカッシュ"に対する強い気持ちからで
"スカッシュを普及したい!"という熱意でした。
ロンとは日々仕事についてや、将来やりたいことについて毎晩のように話していて、SBHもその延長線上にありました。
といっても、こんなにまで大きなプロジェクトになるとは当初は予定していなかったのですがね・・・(笑

●その頃、お二人は、何をされていたんですか?

 当時の私たちはそれぞれ、外資系金融とコンサルティング会社に属していました。
私の前職は組織と人事のコンサルティング会社で、ベンチャー企業で、毎日、朝から夜中まで
コンクリートジャングルの中で働くという生活でしたね。
具体的な事業内容は多くの企業様の組織を元気にするために、"人"に焦点を当てた人材研修や人事制度を
組み立てる仕事です。多くの企業様のコンサルティングを行っていく中で、かなり人の心情に入り込み、
どうやったら人はモチベーションをもって動くのか、顧客視点に立ったサービスができるのか、
そのための従業員の立ち振る舞いは・・・などと、お客様の事業内容にお応じて施策を考える仕事をしていました。
その他にも、同じ軸で従業員のコミュニケーションが活発になるオフィスレイアウトを考える部門にも携わりました。

●う〜〜ん、バリバリのキャリアウーマンですね!!そうやって、担ったスキルが今のプロジェクトにも役に立っているんですね。

 そうですね・・・

●最初にSBHの設立話を聞いた時は、どんなお気持ち感想をお持ちになったんですか?

 話を聞いてびっくりしたという感情とかよりも、"いよいよ本当に動きだすんだ"という、
ぞくぞくするような気持ちでした。
2006年の年始に私たちは"実動"という抱負を掲げ、それを達成するべく、未知なる領域へ動き出しました。
自分たちが動かないと何も進まないという大きなプレッシャーを次第に感じ始めたことを覚えています。

●SBHには長い構想時間があったんですね。

 この話が始まってからサンセットブリーズが誕生するまで約2年くらいですね。

●それまで、蘭さんにとってスカッシュとはどんなものだっだんですか?

 正直、ロンと出会うまではスカッシュを経験したことはなかったんです(笑)
私は、スポーツは好きでしたが得意ではない・・・運動神経もいまいち・・・なタイプでした。
なので、初めはピンとこなかったのですが、ロンがスカッシュについて熱く語り、
スカッシュの大会や練習場に顔を出し、スカッシュ界の現状をよく 知るようになり、
ロンの強い想いが一緒になれば"何か変わることができるかも知れない・・・"と思い始めた感じです。

●ロンさんの熱い語りは、JSAの機関誌や、他サイトのインタビューなどでも、拝読してましたよ。
絶対何かやってくれるんだろうと思わせられました。
そして、期待はSBHとなって実現しました。施設の誕生までのご苦労は、想像もできないんですが、
オープンまでのプロセスの中で、一番大変だった事ってなんですか?

 これを答えるのにはだいぶ時間が必要ですね(苦笑)
まず一つは、始める前にやるべき事をスケジュールに起こしていったのですが、いったい何を、
どのタイミングで、どんなスケジュール感じで動けばいいのか、始めは全くわからなかったこと。
プロジェクトの全体像が見えなかったことが一番つらかったです。

当時は、オープンまでに時間がなかったので、工期もぎりぎりの中、内装のデザインやコーディネイト、
組織体制づくり、オペレーションづくり、物品購入、各所との契約とまだまだ沢山のことを同じタイミングで
一気にやり遂げなくてはいけなく、最後までやり遂げられるかなと途中恐怖に感じたことを覚えています。

また、サンセットブリーズの大きな意義でもある"地元地域"との関係性づくりも、大変苦労した事のひとつです。
よく言われる事ですが、よそ者が何しにきた?という風に始めは見られていました。
どんなに語っても、地元の人々が得体のしれない私たちを疑うのは当然の事ですよね。
そこで私たちは、鋸南町に毎週末通いました。
それは、鋸南町や南房総をもっともっと知るために必要不可欠でしたね。
そんな私たちを見て地元の方々も、少しずつ私たちに信頼を置いてくれるようになったのだと思っています。

●本当に大変なご苦労があったのだろうとお察しします。では、そんな苦労が報われた、嬉しかった事はなんですか?

 嬉しかったことですか・・・これもいろいろあって難しいですが、無事オープンしたことに勝るものはないですね。
でも個人的に嬉しかった事は、自分が考えていた空間ができたことですかね。
レストランエリアは初めてこの施設を見た時に、"ピンっ"と天から降ってきた理想の空間あったんです。
それがその通りに仕上がった時は、何とも言えない気持ちでした。
もともと、インテリアコーディネートに興味があり、自分の感覚を信じ、実現したかったことでした。
ロンと一緒にこのプロジェクトをスタートした時に、ロンはよりビジネスサイドを担当(論理派)、
私はお客様が居心地いい空間をどのように作るか(感覚派)を担当すると決めていたこともあり、
理想の空間ができたことは嬉しかったです。
inte.jpg(36683 byte) oasisb.jpg(86101 byte)

●確かに居心地いいですもんね〜。では、施設について、お伺いします。
オープン当初は、SBHがどんな施設になっていくのかと想像もできずに居ましたが、あっという間に、
次々と新しい企画に取り組んでいらっしゃって、その様子がHPでも、紹介されてます。
その充実振りを、まだ、保田に訪れていない京都のスカッシャーにアピールしてください。

 サンセットブリーズは昨年10月で1年を迎えました。初めの一年はいろいろな可能性を探る時期でもありました。

この一年を通して見えてきた事に、自然環境・子供・体験・スポーツとキーワードが今後のサンセットブリーズの
価値を高められるのではと思っています。なのでこれからは、スポーツはもちろんのこと、
各スポーツに南房総の自然を活かしたアウトドア体験や子供の教育合宿、、スポーツを通じて
コミュニケーションやチームワークビルディングを提供できればと思っています。

また遊休施設や自然環境を活かして社員旅行や社員研修の場の提供としても多くの方にご利用頂こうと思っています。

●スカッシュでは、すでに4つの公認大会、サンセットカップ、マスターズ、などの大会や、
イベントが開かれましたね。大会以外では、合宿でSBHをおとずれるスカッシャーも多いと聞きますが。
SBHは、スカッシュ施設と思われがちですが、実はスカッシュはSBHの色んな部門の中の一つなんですね。

 はい、その通りです。

●実はフットサルの利用が一番多いと伺ったりしてますが、スカッシュを含め、地元の人々に、
どうアピールしていったんですか?

 オープン当初は、地元の子供たちを対象に無料でスカッシュとフットサルを体験してもらう企画を実施したり、
クリスマスパーティーやスカッシュ大会に招待しました。
また今は、地元出身のフットサル担当のスタッフが行う、幼児向け体操教室やスカッシュのスクールも実施しており、
スカッシュスクール以外でも、サッカーや野球、体操教室の子供達にもトレーニングのひとつとして
スカッシュを体験してもらっています。

●スカッシュで人を呼ぶのではなく、訪れた人たちに、気軽にスカッシュも体験してもらえるのは、画期的ですね。
スカッシュの認知度を考えると、非常に有効なアプローチですね。

 はい。そのような活動の中から、南房総の体育の先生方が毎年行うニュースポーツを体験する会でもスカッシュを
体験したいというお声がかかり、南房総の体育教師が一同にスカッシュを体験したという企画も行いました。

あとは、地元の子供会の企画のなかで"お楽しみ会"という食事付の企画があるのですが食事とスカッシュ体験を
セットにした会を多くのグループに実施しました。

●SBHの食事が、また美味しいんですよね。企画のいろいろは、HPのブログでも拝見してますよ。
どれも大盛況な様子が伝わってます。

 この流れをもっともっと増やし、2010年の千葉国体にスカッシュが初めて競技として取りあげられ、
サンセットブリーズで開催する試合に多くの方に参加してもらえればと思っています!

●それにしても、イベントの企画運営の大変さは、私達京スカも少なからず経験しているのですが、
これだけの勢い、モチベーションは一体どこから来ているのでしょう?

 そうでうすね。確かにイベント運営はエネルギーを使いますね。
しかし、私たちはイベントも宿泊業も同じ流れにあると思っています。
『サンセットブリーズに来てよかった〜』『また遊びに来たい!』と思ってくださる事を第一として考えているので、
来て下さった方への演出は、宿泊業をしている中でも必要な事ですからね。

●スタッフの方々もいつも笑顔で接してくれるんですよね。レン君も。
(注:レン君=SBHのマスコット犬。ボーダーコリー。HP参照)

 すっかりレンも皆さんに可愛がられていますね。ありがたいことです。
レンにもしっかりと働いてもらいましょう!

●すでに、スカッシュ未体験者から、マスターズや、ミドルクラスなど、
色んな層のプレーヤーの事を考えて行動を起こしているSBHのスカッシュ界への想いをお聞かせください。

 "スカッシュ楽しい!"と思ってくださることが一番大切な事だと思っています。
これは経験者も未経験者にとっても一緒の事。
だから、楽しい大会にする事もそうですし、居心地良いスカッシュの環境を用意する事も大事ですよね。
サンセットブリーズのスカッシュの意義とは、そこにあるんです。

●確かに、SBHには随所に、いろんな環境のこだわりが見えるんですね。
特にインテリアの趣味や、季節の飾りつけ、おいてある本や、ゲーム、食器など。
これは、蘭さんのこだわりですか?

 はいそうです。先程も触れましたが、その通りです。

●では、ナイステイストをお持ちの蘭さんご自身について、お聞きします。
お生まれは、どちらですか?

 出身は神奈川県です。
といっても私は、小、中、高、大、Nowとそれぞれ違うエリアに住んでいた経験があるので、
どこが地元?と聞かれるとちょっと困ってしまいますが、一応神奈川県ということで。

●どんな学生時代を送られましたか?

 学生時代は、スポーツに専念してました!という想い出は、ほぼなく、
好奇心が旺盛で小学校を卒業してからは海が好き&田舎暮らしにあこがれ伊豆の祖母の家に親元離れて
居候する生活をしたり、そのまま一人でアメリカに留学したりと多感な子でした。

●やっぱり、ちょっと人と違いますね。(笑)
スカッシュ歴は?他にたしなまれるスポーツはありますか?

 スカッシュ歴は、ほぼゼロ。その他は、卓球、テニス、チアーダンスをちょびっとやっていましたかね。
ホント、これ!っていうスポーツはやっていた感じではないですが、
卓球は意外ですが、かなりうまかった方です(笑)
大学に入ってからは、アメフトのマネジャーとして携わりそこでチームの組織づくりや
チームビルディングの面白さを学びました。

●今は、きっと休日返上で、SBHの運営に従事されているかと思いますが、
休日はどんな風に過ごされるんですか?趣味とかは?

 うーん・・・
休日という休日はもうここ数年過ごしていないですね・・・
あったとしても、ロンと仕事の話をしたり、仕事につながる場所へ出向いたりといった感じです。

でもたまに、自分のアウトプットがカラカラになると、私が好きなインテリアデコレーターがオーナーの
お店に出向いて見せ方や色遣い、デコレーションをインプットしに行きます。
ひとりで行くその時が一番落ち着きますね。

後は、レンと一緒に海へ出て貝殻を拾ったり、岩場にいる生き物を見たりとあまり何も考えない時間を作っています。

●蘭さんは、とても健康そうな印象を受けますが、食べ物とかにもこだわりがありますか?

 母親がマクロビオテック料理をかじっていることもあり、食材の良いものを選ぶようにしています。
千葉に来てよかったなと思うのが、道の駅で売っている農家から直売の新鮮お野菜が食べられる事。
新鮮だし、美味しいし、おまけにお安いし。
料理するときは、必ず直売所に行ってお野菜を大量購入しています。

●音楽にもこだわりがありますか?

 私、NO MUSIC . NO LIFEな人間なんです。
昔は偏ったジャンルが好きでしたが、今はどの音楽も良く聞きます。
サンセットブリーズをやって真っ先に導入した有線はすぐれもの!
聞きたい曲をいつでも聞けるから最高ですね。
今は、やっぱりサンセットブリーズに合った曲を選んでいます。
朝はすっきりした洋楽を、昼間は太陽を感じれるようなアップテンポの洋楽を、
夕方はちょぴり切ないチルアウト系の曲で、夜はワクワクするようなハウス系の曲を
その場面場面にふさわしい曲に応じてかけています。

●お好きな映画とかは?

 うーん、映画ですか。
語るほど映画好きっていうことはないですが、印象に残る映画は古すぎますが"グーニーズ"です。
あの映画がキッカケで、アメリカ行きを決めたんです。

●尊敬する人って誰ですか?

 両親です。
父は穏やかな性格で懐が広く、安心&信頼できる人です。
言葉数は少ないけど、何事にもまじめで多くの人から信頼させる人ですね。

母は父よりもっと社交的で感覚的センスが良く、いつも太陽のように輝いている人。
実家に帰ると毎度、刺激を受けています。人を引き付ける要素を持っているんですよね。

2人ともものすごく"愛"にあふれているので、実家は常にハッピーに包まれています。
そんな二人のように周りから思われる大人でありたいなと思っていますが、まだまだ成長が足らない自分です・・・
いつかはきっと2人のようになりたいですね。
でもこのように思うようになったのも、社会人になってからです。
今はその時よりもっともっと強く思うようになりました。

●10年後の自分にかける言葉ってありますか?

 10年後だと、39歳の自分ですね。
『羨ましい人生だね!』って言いたいです。
仕事も順調にいき、プライベートも楽しく明るい生活をしていることを期待しますね。

●ところで、京都に訪れたことはおありですよね。

 確かあれは、3年前の灯篭祭りだったと思います。ロンと一緒に関西オープンの後に京都によって、
鞍馬の山に登ったり(当時は登山が2人の間ではやっていました。)しましたね。

●京都の印象といったら?

 住めるなら、絶対にすみたいところです。
あんなに、歴史と一緒に生活できるだなんて京都人は羨ましい。
しかも四季折々を肌で感じられるなんて、贅沢なことですよね。

●次に京都をおとずれたら、どこに行きたい?何を食べたい?

 お茶屋さんでしたっけ。
隠れたお茶屋さんに行ってみたいです。東京では味わえない世界を堪能してみたいですね。
後は、京都の旅館に泊まってみたいです。日本の"おもてなし"の心を勉強したいと思っています。

●京スカは、自分達の愛するスカッシュがずっと続けられるように、スカッシュが出来る環境を維持していく為に、
クラブの垣根を越えて、スカッシャー達が皆一つの方向を向いています。
それが、楽しいイベントや、更なる広がりを求めた意見交換会などとなって、実行されています。
私達の活動について、メッセージをいただけますか?

 多くの活動が行われている昨今、スタッフみんなが楽しく活動しなくてはならないですよね。
やらされるのではなくて、自発的に楽しく!

そうすれば、必ず賛同者は増えていきますもんね。
是非一緒に楽しい企画をどんどん考えて盛り上げていきましょう!

●関西エリアのプレーヤーにSBHをアピールしてください。

 関西のみなさん。
東京から車で約1時間のところにある、小さな海辺の町へ是非お越しください。
関西の海とはまた違った切り口で自然の光景を皆さんに見てほしいと思います!

●ありがとうござました!



外国の香りがする人。私が、初めてお見かけした蘭さんは、ジスト和歌山のコート前で、
ロンさんの試合の観戦をしていらっしゃいました。どなたかも知らなかったのに、
そんなハイセンスな雰囲気が強く印象的だったのを覚えています。
それから数年たって、蘭さんはやはり同じオーラを纏いながら、SBHを所狭しと、きりもりしていらっしゃいます。
オープンから、夏の満員、すべて手探り、大忙しだったでしょう?と聞くと、にっこり笑顔で、
「もう大変でした。」と。パワフルです。
SBHのHP、ブログも蘭さんの担当です。新しい年に向けてリニューアルされたばかりです。

ブログには、スカッシュの大会の様子もアップされています。宿泊を共にする大会では、夜は懇親会。
はじける大会主催スタッフの様子に、SBHならではの開放感を感じることが出来ます。

百聞は一見にしかず。
まだ、保田に訪れていない京都のスカッシャーの皆さんにも、一度SBHのホスピタリティーを体験しに行って欲しい。
SBHならではの価値(キーワードは、自然環境、子供、体験、スポーツ)は、正直いって、大会より、
ラケットもってののんびり旅行や、仲間との合宿のほうが、満喫できるでしょう。
すっかり地元の人々にもなじまれているSBH。鋸南町の人たちとスカッシュしたり、オアシスブルーカフェで
蘭さんと楽しいおしゃべりができますよ。